チェコ大統領選で退役将軍のパベル氏リード、27・28日に決選投票

チェコで13、14の両日、現職のゼマン大統領の任期満了に伴う大統領選挙が行われ、退役将軍のペトル・パベル候補(61)が富豪でポピュリストの前首相アンドレイ・バビシュ候補(68)を僅差で上回った。得票率はパベル候補が35.4%、バビシュ候補は34.99%。パベル候補は当選に必要な過半数に届かなかったため、勝負は27、28日の決戦投票に持ち越された。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻のただ中で行われた今回の選挙の焦点は、親欧州で民主主義を尊重する姿勢を示すパベル氏と、EU懐疑派で親ロシア・中国のバビシュ氏のいずれが支持されるかにあった。ウクライナ支援でもパベル氏は積極的な一方、バビシュ氏は国内経済を犠牲にすべきではないと消極的だ。

大統領選には8人が立候補した。3位でメンデル大学学長のダニュシェ・ネルドヴァ候補(44)は落選した他の4人の候補とともにパベル氏への支持を表明している。バビシュ氏は今後2週間で多の候補者の支持票をどれだけ取り込めるかがカギとなる。

前職が北大西洋条約機構(NATO)の軍事委員長のパベル氏はチェコ軍の参謀総長を務めた経歴を持つ。中道右派を自任し、選挙戦では法と秩序の尊重を訴えるも、同性婚を支持するなどリベラル的な性格も持つ。中道左派の5党連合を率いるフィアラ首相も同氏寄りの立場だ。

バビシュ氏は最大野党「ANO」を率いる国内有数の大富豪で、反移民・親中的な言動で際立っていたゼマン氏と近い。選挙では貧困率が高く教育水準の低い地域で支持が高かった。

パベル氏は旧チェコスロバキア軍で空挺部隊を率い、敵地での特殊任務実行を専門としていた。パビシュ氏はこの経歴を旧ソ連の国家保安委員会(KGB)になぞらえ、プーチン大統領を引き合いに「これまでのところ元スパイが大統領になった国は欧州ではロシアが唯一だ」と述べてパベル氏を攻撃している。一方、バビシュ氏はスロバキア当局により、かつてチェコスロバキアの秘密警察への情報提供者だった過去を暴露されたが、当人は否定している。

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