業界向け大容量クラウドストレージのタイガー、医療業界に照準

●ローカルの使い勝手でクラウドストレージを利用できる

●同社はブルガリア軍などの採用実績を経て国際展開中

ウインドウズ用ファイル共有ミドルウエアを展開するブルガリアのタイガー・テクノロジー(Tiger)が、次の成長の原動力として医療画像に照準を合わせている。すでにフィリップスなどの医療機器メーカーに自社のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)実装を働きかけているところだ。大容量データを扱う業種の一つとして、医療機関の需要を見込む。

タイガーの主力ソフト「タイガー・ブリッジ」は、ローカルファイルと同じような使い勝手でクラウドのストレージスペースを利用できるようにする。ウインドウズ上で表示されるファイルアイコンは通常のファイルアイコンと同じだが、ここにデータを保存すると実際はクラウド上に保管される仕組みだ。このため、使うのが簡単で、ローカル機器の容量も気にせずに済む。また、グーグル・ドライブやマイクロソフト・ワンドライブと異なり、保存したデータは直接、ローカルのソフトで処理できる。

医療機関が同社のサービスを利用すれば、医療機器で読み取った画像をクラウドで共有し、世界中の専門医と共有することができるようになる。医療画像は容量が大きく、何年も保管しなければならない。クラウドを利用すれば、自前のストレージ設備を用意しなくても済む。

タイガー・ブリッジで特徴的なのは、データへ素早くアクセスできるよう、キャッシュ(一時保存)を柔軟に管理する機能を備えていることだ。ユーザーがファイルを閉じると、キャッシュはクラウドに保存される。再び開くと、実際に必要な部分だけがローカルにダウンロードされる。映画であれば、視聴している部分だけ、大容量の医療画像であれば、ディスプレイの能力に合わせた解像度のデータだけが送られてくることになる。医療画像を拡大するときには、拡大される部分の追加データのみがダウンロードされる。

タイガーは2005年の創業。ブルガリア陸軍や、海軍保有の潜水艦など、国内機関で採用された後、国外の動画・映像制作会社との取引が始まり、国際企業としての地歩を固めた。医療保険分野など、システムやデータの移行(マイグレーション)が難しい専門性の高い業界向けに、迅速にアクセスできるリモートストレージサービスを提供する大手企業に成長することを目指している。

タイガー・テクノロジー社ホームページ

https://www.tiger-technology.com/

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