「永遠の化学物質」を禁止、5カ国がEUに提案

●早ければ2026年に新ルールが施行される可能性

●化学業界団体は禁止法案に対し例外規定を設けるよう要求

ドイツなど欧州5カ国は7日、永遠に残る化学物質と呼ばれるPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の欧州連合(EU)と欧州経済領域(EU27カ国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン=EEA)での利用を禁止するようEUに求める共同声明を発表した。5カ国は段階的に禁止する法案を提出済み。早ければ2026年に新ルールが施行される可能性がある。

共同声明を出したのはEU加盟国のドイツ、オランダ、デンマーク、スウェーデンとEEAに加盟するノルウェー。

PFASは高い耐熱性、耐候性、耐薬品性、潤滑性、電気絶縁性などを持つ多様な化学物質の総称。炭素原子とフッ素原子が非常に強く結合しているため、自然界では分解されず、人体や環境中に長く残ることから「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれている。

5カ国は1月、PFASが環境に有害であるだけでなく、がんやホルモン機能障害、免疫不全を引き起こすとして、禁止する法案を欧州化学物質庁(ECHA)に提出していた。約1万種類に上る、PFASの利用を段階的に禁止するという内容だ。

具体的には、代替物質確保の難易度に応じて、企業に18カ月~12年の猶予期間を与えて段階的に禁止する。医薬品、殺菌剤などに使われるPFASのうち、すでに厳しい規制が導入されているものについては禁止の例外とすることも提案している。26年または27年の施行を目指す。

PFASは半導体、自動車、バッテリー、医療機器など幅広い製品に使われる。5カ国はPFASを放置すると、利用が毎年10%のペースで増加し、環境、人体への悪影響が続くとして、EUに早期に規制に乗り出すよう求めている。

5カ国の提案は、ECHAがEUの化学物質規制「化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則(REACH)」との整合性審査を通過する必要がある。審査には1年以上がかかる見通し。審査が終わればECHAが欧州委員会に意見書を提出する。欧州委が規制は必要と判断すれば、EUレベルの正式な法案をまとめる作業に着手し、EU加盟国の承認を経て発効となる。

EUの化学業界団体は、禁止法案が成立すると世界的に需要が急増している半導体などの製造に大きな支障が出るとして、例外規定を設けるよう求めている。

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