●バッテリー生産における再生材料の利用促進が狙い
●まずはポーランドでリサイクル・バリューチェーン構築を目指す
欧州復興開発銀行(EBRD)と欧州連合(EU)系投資機関EITイノエナジーが、EVバッテリー・リサイクリング業界への投資環境づくりで提携する。バッテリー生産における再生材料の利用促進が狙い。EVバッテリー業界や循環経済ビジネスモデルに関する両機関の豊富な経験を活かす。
両機関はまず、ポーランドにおけるリサイクル・バリューチェーン構築に向け、どのような障害が市場に存在するのかを洗い出す方針だ。それを基に◇技術や規制に関連する課題を評価◇EVバッテリー材料のリサイクル・バリューチェーンに関わる投資家同士の交流・提携促進◇知識獲得のためのナレッジハブを組織◇資金調達における支援提供――を行っていく。後に、対象地域を他の中欧諸国にも広げる可能性がある。
EITイノエナジー・セントラル・ヨーロッパのマルチン・ヴァシリエフスキ最高経営責任者(CEO)は、「EUが2050年に環境中立を達成するには運輸部門の脱炭素化が重要」としたうえで、EVの普及に向けて物質集約度(製品の生産にどれぐらい物質が投入されるか)を低減し、かつ、資源需要を満たすリサイクル体制・循環経済を構築することが必要だと話した。それがEUの戦略的独立性を維持することにもつながるという立場だ。
EBRDのジャンピエロ・ナッチ持続可能ビジネスインフラ部長は、EBRDが最優先課題とする低排出経済、そして危機に強い経済への移行に当たり、バッテリーが一つのカギとなるという見方を明確にした。そのうえで、「低排出車、ゼロ排出車の普及を加速するにはリサイクル・バッテリー材料市場の存在が不可欠」とその重要性を強調した。