チェコのサイバー情報セキュリティ庁(NUKIB)は8日、中国系動画投稿アプリ
「TikTok(ティックトック)」を利用しないよう警告した。同アプリを「セキュリ
ティ上の脅威」に分類し、一般ユーザーはダウンロードする前に「よく考える」必
要があると述べた。同アプリを巡っては欧米の機関で利用を禁止する動きが広がっ
ている。
NUKIBによると、通信インフラや情報システム関連の従事者などは、チェコのサイ
バーセキュリティ法に基づき使用が禁止される。同庁は政治家や役人などに対して
もアプリを使わないよう勧告した。チェコでは約200万人が同アプリを利用してい
る。
同庁のルーカシュ・キントル長官は、同アプリによるユーザーデータの大量収集・
保存と、現在の中国の法的及び政治的環境の「不安定さ」が警告の理由だと説明。
「公的な情報源と同盟国の両方から得たティックトックに関する情報の包括的な分
析に基づき、警告を発した」と述べた。
NUKIBは声明で、ティックトックの運営企業バイトダンスは中国政府の管轄下にあ
ると指摘。中国の利益がアプリのユーザーよりも優先される可能性があると強調し
た。ティックトックはNUKIBの決定に対し「警告は根本的な誤解に基づいており、
不当だ。当社のデータ収集量は一般的なアプリと比べても少なく、中国政府は
ティックトックおよびバイトダンスの所有権を持っていない」と反論している。
ティックトックを巡っては、ユーザーの個人データや機密情報が中国側に渡るリス
クを警戒し、各国で利用を規制する動きが広がっている。米国では連邦政府の公用
端末でのアプリ利用が禁止されたほか、州レベルでも約半数で同様の規制が導入さ
れている。欧州連合(EU)の機関では欧州委員会、欧州理事会と欧州議会が公用端
末での利用禁止を発表している。
