●総額の26%弱に当たる1,500万ドルをAI技術移行基金に振り向け
●大学での基礎研究を応用し商業化に結び付けられるよう支援
チェコ政府がパイロットプロジェクトとして、5,800万米ドルのベンチャー(VC)基金を設置する。大学における基礎研究を応用して商業化に結び付けられるよう支援する狙い。総額の26%弱に当たる1,500万ドルが人工知能(AI)技術移行基金に振り向けられる。ほかには、フィンテック分野およびごく初期の段階での投資を専門にする基金が設けられる。欧州投資基金(EIF)の選んだファンドマネージャーが運営を担当する。
今回のプロジェクトで政府顧問を務めるヤン・クレスラ氏は「大学における基礎研究には優れたものがあるが、米国や中国に比べ、応用に向けたVC投資が不足している」と現状の問題を指摘する。
EIFによれば、AI技術基金は最終的に2,000万~4,000万ドルに増額される見通しだ。チェコ政府の資金とEIFの他の資金を組み合わせた形でスタートアップを支援することも「ありうる」という。
VCのアトミコと起業分野の情報サイト、シフテッド.euの調べによると、欧州の少なくとも14カ国で類似の基金が運営されている。しかし、資金の一部を基金のある国に投資するという条件に阻まれ、事業本来の成功に向けた戦略を取りづらいという弱点が指摘されている。チェコのAI技術基金も例にもれず、チェコの大学あるいは科学者が参加するなど、チェコとのつながりを証明できるスタートアップのみが支援対象となる。