欧州での特許出願が過去最高に、中韓が躍進・独日は減少

欧州特許庁(EPO)が3月28日発表した2022年の特許出願件数は前年比2.5%増の19万3,460件となり、2年連続で過去最高を更新した。中国と韓国からの申請がともに2ケタ増となり、全体をけん引した格好。ドイツと日本はトップ3の地位を維持したものの、前年を割り込んだ。

ドイツは4.7%減の2万4,684件、日本は0.4%減の2万1,576件に落ち込んだ。両国が強い自動車や機械などの分野で特許申請の勢いが弱まっていることが背景にあるもようだ。

国別の出願1位は米国(2.9%増の4万8,088件)で、2位のドイツ、3位の日本をこれまでに引き続き大きく上回った。4位は中国で15.1%増の1万9,041件、5位はフランスで1.9%増の1万900件、6位は韓国で10.0%増の1万367件だった。中国と韓国は特許出願が活発なデジタル分野に強い。

国別のシェアは米国が24.9%、ドイツが12.8%、日本が11.2%、中国が9.8%、フランスが5.6%、韓国が5.4%、スイスが4.7%、オランダが3.5%、英国が2.9%だった。中国は日本の背中を捉えている。

上位10分野をみると、電気機械・設備・エネルギー(18.2%増の1万3,951件)、デジタル通信(11.2%増の1万6,705件)、バイオテクノロジー(11.0%増の8,168件)で伸び率が特に大きかった。クリーンエネルギーの研究開発が活発化していることを受けて、電池技術は48.0%増加。半導体も19.9%増えた。

輸送(2.6%減の9,272件)、その他の特殊機械(1.8%減の6,382件)、有機ファインケミカル(0.4%減の5,955件)の3分野は前年を割り込んだ。

出願件数が最も多かった企業は中国の華為技術(ファーウェイ)で、4,505件に達した。これに韓LGが3,510件、米クアルコムが2,966件、韓サムスンが2,874件で続いた。欧州勢では5位のエリクソン(1,827件)が最高。ドイツ企業はシーメンス(1,735件)が6位、BASF(1,401件)が8位、ボッシュ(1,214件)が11位に入った。日本勢はソニー(1,329件)が10位、パナソニック(865件)が19位、日立(797件)が20位、キヤノン(676件)が24位に付けている。

人口100万人当たりの出願件数ではスイスが1,031.1件に達し、これまでに引き続きダントツ1位となった。2位はスウェーデン(481.8件)、3位はデンマーク(453.2件)、4位はオランダ(386.9件)、5位はフィンランド(385.7件)と欧州の小国が上位を占める。ドイツは296.6件で6位、韓国は200.1件で10位、イスラエルは192.6件で11位、日本は174.1件で12位、米国は142.2件で14位、シンガポールは139.7件で15位、台湾は61.7件で19位となっている。中国はEPOが公表した上位20カ国のリストに入っていない。

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