北海の風力発電容量を50年までに10倍へ、欧州9カ国が合意

ドイツを含む欧州9カ国の首脳は24日、ベルギーのオーステンデ港で会談し、北海の洋上風力発電能力を大幅に拡大することで合意した。炭素中立の実現に向け二酸化炭素(CO2)の排出削減を進めるとともに、欧州のエネルギー自給を高める狙い。北海での洋上風力発電で協業する国がこれまでの4カ国から2倍以上に拡大した。

欧州連合(EU)に加盟するドイツ、オランダ、ベルギー、デンマークの首相と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は昨年5月、デンマーク南西部のエスビアウで会談し、北海の洋上風力発電拡大に向け協力することで合意。洋上風力発電容量を2030年までに計65ギガワット(GW)以上、50年までに150GWに拡大することを取り決めた。

今回の会合にはこれら4カ国に加え、フランス、アイルランド、ルクセンブルクと、EU非加盟の英国、ノルウェーの首脳が参加。30年の容量を120GW、50年を同300GW以上とすることで合意した。北海の現在の容量は約30GWであることから、50年には10倍に拡大することになる。

ドイツ、デンマーク、オランダ、英国の4カ国は洋上風力発電を利用してグリーン水素を生産することも計画している。生産能力は30年までに約30GWとなる見通しだ。

バルト海経由でロシアとドイツを結ぶガス管「ノルドストリーム」が昨年、何者かによって破壊されたことを踏まえ、9カ国は北海の電力インフラの安全保障対策も検討する。北大西洋条約機構(NATO)との緊密な連携を計画している。

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