英地方選で与党・保守党が大敗、総選挙に向けスナク政権に打撃

英国の中心イングランドで4日、地方議会選挙の投票が行われ、与党・保守党が大きく議席を減らした。EU離脱後の経済停滞が続く中で記録的なインフレに直面し、保守党政権に対する有権者の不満が表れた形。スナク首相の求心力低下は避けられない情勢で、2025年1月までに実施される次期総選挙にも影響しそうだ。

イングランドの地方選は国政を左右する重要な選挙で、次期総選挙の行方を占うものとして注目されていた。230の自治体の約8,000の議席が争われ、6日朝(現地時間)までに229の自治体で開票作業が終わった。公共放送BBCによると、保守党が議席の過半数を獲得した自治体は選挙前の81から33に落ち込み、全体で1,061議席失った。これに対し、最大野党の労働党は71の自治体で過半数の議席を獲得し(選挙前は49)、議席数は全体で536の純増となった。野党第2党の自由民主党も407議席増やし、29(同17)の自治体で過半数の議席を獲得した。

今回の地方選はロンドンとスコットランド、ウェールズでは行われていない。英スカイニュースは地方選の投票結果に基づくと、次期総選挙の得票率は労働党が36~38%、保守党が28~30%となり、労働党が最大政党となる可能性が高いとの予測を示した。BBCも今回の投票結果を英全土に当てはめた試算を示し、労働党が得票率35%でトップに立ち、保守党は26%、自由民主党は20%と予測している。

スナク首相はBBCに対し、一部地域での勝利を強調したうえで「同僚議員を失うのは非常に残念だ。有権者はわれわれに優先課題への取り組みを強化するよう求めている。それが今回私が受け取ったメッセージだ」とコメントした。

一方、労働党の広報担当は、選挙の結果、地方議会では労働党が2002年以来初めて保守党を上回り、最大政党になったと強調。「次期総選挙で政権奪取のめどがついた」と述べた。

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