5月のユーロ圏インフレ率は6.1%、22年2月以来の低水準に

EU統計局ユーロスタットが1日に発表したユーロ圏の5月のインフレ率(速報値)は前年同月比6.1%となり、前月の7.0%から0.9ポイント縮小した。インフレ率の鈍化は2カ月ぶり。2022年2月以来の低水準となった。ただ、欧州中央銀行(ECB)の目標値である2.0%を依然として大きく超えており、ECBが利上げを継続するのが確実だ。(表参照)

ユーロ圏のインフレ率は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーの急激な値上がりの影響で跳ね上がり、22年10月には過去最高の10.6%に達した。その後はエネルギー高に歯止めがかかり、おおむね鈍化傾向にある。

5月は市場予想の6.3%を下回る水準。分野別ではエネルギーが1.7%低下し、2カ月ぶりのマイナスとなった。工業製品は5.8%、サービスは5.0%の上昇だったが、上げ幅はそれぞれ前月の6.2%、5.2%を下回った。

ECBが金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は5.3%で、前月から0.3ポイント縮小した。

ECB はインフレ対策として22年7月から利上げを実施。5月まで7会合連続で政策金利を引き上げた。物価高はピークを越えたとみられるが、なお高水準にあるため、ECBは利上げを続ける見込み。

ラガルド総裁は1日、5月のインフレ率が発表された後に銀行業界の会合で行ったスピーチで、「インフレ率は高すぎる」とした上で、「まだ引き締めの余地がある」と述べた。市場は少なくとも次回の会合(6月15日)で0.25ポイントの利上げを実施するのは確実との見方で一致している。

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