ドイツ連邦統計局が31日発表した6月の輸入物価指数(2015年=100)は前年同月比11.4%減の124.8となり、リーマンショックに伴う金融・経済危機のさなかにあった09年9月以来の大幅下落を記録した。同物価の低下は4カ月連続。比較対象の22年6月はロシアのウクライナ進攻開始(2月24日)の影響で輸入価格が高騰していた。今年6月はそのベース効果で物価を押し上げる力が弱まったことから、指数が下落した。物価高騰の最大の原因となっていたエネルギー価格が特に大きく低下している。
エネルギーは前年同月を44.9%割り込んだ。下落幅は電力で57.6%、石炭で53.6%、天然ガスで50.6%、石油製品で40.2%、原油で38.8%に達した。エネルギーを除いたベースでは輸入物価の下げ幅が2.0%にとどまった。
中間財は8.8%減となり、下げ幅は前月の8.2%からやや拡大した。低下は4カ月連続。下落幅は肥料・窒素化合物で53.6%、カルボン酸と誘導体で34.6%、アルミニウム・アルミ合金で25.9%、銑鉄・鉄鋼・鉄合金で21.9%と特に大きい。スターチ・スターチ製品(+50.9%)、中空ガラス(+21.8%)はこれまでに引き続き大幅上昇した。
非耐久消費財は2.7%上昇したものの、上げ幅は前月(3.5%)を下回った。上昇率は食料品で6.1%(前月7.8%)を記録。果物・野菜製品は11.0%(同13.0%)、食肉・肉製品は5.9%(6.4%)、豚肉は34.5%(27.3%)だった。
耐久消費財は2.5%(3.2%)。
投資財は4.10%で、前月を0.1ポイント下回った。構成比重の高い自動車・自動車部品は5.6%(5.6%)、機械は4.9%(5.2%)となっている。
農産物は0.7%減となり、3カ月連続で下がった。天然ゴム(-26.1%)、穀物(-22.2%)、コーヒー生豆(-20.3%)はこれまでに引き続き下げ幅が2ケタ台となっている。豚は73.0%、カカオ豆は32.9%上昇した。
輸入物価指数は前月比では1.6%減となり、10カ月連続で下落した。ピーク時の昨年8月(149.1)に比べると16.3%低い水準だ。エネルギーは前月比で6.6%低下。その他の財も中間財が1.4%、耐久消費財が0.1%、非耐久消費財が0.4%、農産物が1.6%の幅で下落した。投資財は0.1%増とわずかに上昇した。
輸出物価指数は前年同月比0.9%減の122.4となり、2年6カ月ぶりに低下へと転じた。エネルギーが45.5%下落。農産物(-5.5%)と中間財(-2.6%)も低下した。投資財は5.2%、消費財は4.2%上昇した。
輸出物価は前月比では0.1%下がり、6カ月連続で低下した。過去最高となった昨年8月(128.7)に比べると4.9%低い。