独化学工業会(VCI)が14日に発表した同国化学・製薬業界の第3四半期の生産高は営業日数・季節調整ベースで前期比0.1%増となり、6四半期ぶりに拡大した。ただ、生産高の水準は極めて低いうえ、新規受注も減少が続いており、景気回復の見通しは立っていない。マルクス・シュタイレマン会長(コベストロ社長)は、「ドイツの化学産業は足踏み状態が続いており、年末に好転するという希望は消え去った」と明言。エネルギー・原料価格の高止まりなどを背景に企業は国内生産の停止や国外移管を余儀なくされていると述べた。
生産高の落ち込みが最も大きかった部門は石油化学品・誘導体で、減少幅は2.8%に上った。これに医薬品が2.5%、洗剤・ボディケア用品が2.2%で続いた。無機基礎化学品は13.3%増と大幅に伸びた。
工場稼働率は75.7%となり、前期(77.3%)に比べ1.6ポイント低下した。通常の水準(83~85%)を大幅に割り込んでいる。
出荷価格は2.6%下落した。無機基礎化学品では下げ幅が8.0%、石油化学品・誘導体では同4.6%に達した。
売上高も0.3%減の548億ユーロに落ち込んだ。国内が0.5%、国外が0.1%の幅で縮小した。
VCIは2023年の生産高で前年比8%減、売上高で14%減を見込んでいる。