BEVの気候優位性、独では9万キロの走行で初めて実現

独技術者協会(VDI)は11日に発表した乗用車の気候バランスシートに関する調査レポートで、ドイツで使用される電気自動車(BEV)は9万キロ以上走行しなければ、製品ライフサイクル全体で排出される二酸化炭素(CO2)の量が内燃機関車を下回らないとする結論を明らかにした。CO2排出量を減らすためには、現在主にアジアで行われている車載電池生産のドイツ移管、電池リサイクルの強化、再生可能エネルギー発電のさらなる拡充が必要だとしている。

VDIはカールスルーエ技術研究所(KIT)と共同で調査を実施した。調査は様々なメーカーが販売するコンパクトカーのBEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、ガソリン車、ディーゼル車を対象に行った。

車両が20万キロ走行した場合のCO2排出量を比較すると、BEVは最も少なく24.2トンだった。これにPHV(24.8トン)が僅差で続いた。ディーゼル車とガソリン車はそれぞれ33トン、37トンと多い。

9万キロ以上を走行しなければBEVのCO2排出量が内燃機関車を上回るのは、◇エネルギー集約度の高い電池の生産が火力発電比率の高い中国などで主に行われている◇ドイツ国内の電力も4割を火力発電に依存している◇電池のリサイクルが本格化していない――などの事情があるためだ。国内の電力がすべて再生エネ化すれば、同距離は6万キロに短縮される。逆に、火力発電比率が100%であれば16万キロとなり、気候バランスシートは大幅に悪化する。

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