ロシア自動車最大手アフトワズが輸出拡大を通じた増産計画を練っている。独立国
家共同体(CIS)以外の国々へ出荷できるよう、国有の海運会社フェスコ(Fesco)
は自動車運搬船を購入する方向だ。ただ、発注はアフトワズの受注が確認されてか
らとしている。
アフトワズのマクシム・ソコロフ社長によれば、同社は今年2万5,000台を輸出し、
30年までに10万台へ増やすことを目指している。その一環として、イランへの完成
車輸出および現地組立生産について同国政府と交渉中だ。エジプトについても現地
生産拠点の設置を検討している。
今回のフェスコの船舶調達計画の背景には、ロシアが国外への完成車輸送を外国の
船舶に依存してきた事実がある。ロシア連邦統計局(ロススタット)によると、
2021年の完成車輸出台数は推定8万9,100台だった。22年については確かな統計がな
いが、およそ3分の1に激減したとみられている。
ただ、ロシアの自動車輸出では旧ソ連のCIS諸国向けが依然として大部分を占めて
いる。果たして、輸送手段が確保されれば他の国々への出荷が増えるのかは未知数
だ。
同時に、ロシア自動車業界の輸出攻勢で、ロシアに拠点を持つ中国メーカーが第三
国への輸出を伸ばして利益を得る可能性もある。中国企業は、欧米自動車企業撤退
後の空白を占める形でロシア事業を拡大。自動車企業7社の22年ロシア売上高は前
年比91%増の3億4,600万ルーブル(35億米ドル)に急増した。純損益の合計は前年
のマイナスから790億ルーブル(90億ドル)の黒字に転換した。