アルバニアで天然水素の鉱床発見、埋蔵量5万5000トン

アルバニア北東部ブルチザにあるクロム鉱山の地下で天然水素(ホワイト水素)の
鉱床が発見された。仏グルノーブル・アルプ大学の研究チームの調査によると、推
定埋蔵量は5万5,000トン。今後200年以上に渡り高流量が持続する可能性があるも
のの、採掘のハードルは高いという。9日付のニュースサイト『bneインテリニュー
ス』が報じた。
現在、水素の生産で主に用いられるメタンガスは生成過程で二酸化炭素(CO2)を
発生させる。天然水素にはこの問題がなく、再生可能エネルギーを使って水を電気
分解する方法(グリーン水素)よりも低コストで利用できる。地中での生成速度が
数十年から数百年ほどと短いため、石油資源のように枯渇する心配もないとされ
る。
今回発見された水素の鉱床は深度が深く、採掘には技術的な困難が伴うほか、様々
なインフラの整備も必要となる。可燃性が高いため安全の確保も重要だ。研究チー
ムは、鉱山内で高濃度の水素が数度の爆発を引き起こしており、対策が必要だと指
摘している。
天然水素は水、数百度の高温、鉄分に富む岩石という地質条件が揃うところに埋蔵
されていると言われる。現在のアルバニアが位置するあたりはかつての海底で、地
殻変動により数百万年前に陸地に押し出され、地殻からマントルにかけての複数の
地層がみられる岩石地帯(オフィオライト)を形成した。これが天然水素を生成す
るには好条件となっている。

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