操業を停止している欧州自動車大手ステランティスのロシア・カルーガ工場で、現
地企業がシトロエンのSUV「C5 エアクロス」を生産しているもようだ。ロイター通
信が15日、ロシアの自動車販売事業者の情報として報じた。同国のオートモーティ
ブ・テクノロジーズが、ステランティスの合弁相手である中国の東風汽車から部品
を調達しノックダウン生産(KD)を行っているという。税関記録によると、昨年12
月に42台分の部品が輸入された。
東風汽車は合弁会社の神龍汽車を通じ、中国市場向けにシトロエンやプジョー車を
生産している。2022年のウクライナ軍事侵攻を受け、西側の自動車メーカーの多く
はロシアから撤退したものの、一部のモデルはロシア政府公認の並行輸入制度を通
じ、メーカーの許可を得ずに同国市場に流入している。
ロイター通信によると、ステランティスはC5 エアクロスの部品輸入について把握
していなかった。同社は取材に対し、昨年末を区切りとして「ロシア事業の支配権
の消失」という結論に至っていると回答した。
ステランティスは22年4月にカルーガ工場の操業を停止した。同工場にはステラン
ティスが70%、三菱自動車が30%を出資する。年産能力は12万5,000台。侵攻前は
プジョー、シトロエン、オペルのほか、三菱自のSUV「アウトランダー」や「パ
ジェロ」を生産していた。