保険大手の独アリアンツが保有する不動産ポートフォリオで昨年、約50億ユーロの評
価損を計上していたことが、ブルームバーグ通信の27日の報道で分かった。同社のオ
リファー・ベーテ社長は23日の決算発表で、2023年12月期に8%の評価替えを行った
と述べていたが、詳細については明らかにしていなかった。
アリアンツの不動産ポートフォリオの時価が23年末時点で584億ユーロとなっている
ことから、同通信はこれをもとに評価損の額を計算。広報担当者は50億ユーロという
数値が正しいことを認めた。
ベーテ氏は同通信の23日のインタビューで、「投資家の真の懸念は評価損を公表しな
い市場参加者が存在することだ。(評価損の事実を明らかにした)アリアンツは極め
て誠実に対応している」と述べていた。不動産市場ではコロナ禍発生後の在宅勤務の
増加や金利の急上昇を背景に物件の評価額が大きく下落。欧米で積極投資を行ってき
た墺不動産大手シグナが経営破たんするなど状況が厳しくなっている。
アリアンツの不動産ポートフォリオで最も額が大きいのはオフィスビルで、全体の
49%を占める。住宅は16%と少ない。