エネルギー大手の独ユニパーは13日、多孔質岩石層の天然ガス貯蔵施設に水素を貯
蔵する研究プロジェクトの第1フェーズが成功裏に終了したことを明らかにした。
多孔質岩石層が水素貯蔵に適しているとの最終結論を出すことは現時点でできない
としながらも、見通しは明るいとしている。
同社を中心とする5社は独南部のウンターライト村ビーアヴァングにあるユニパー
の天然ガス貯蔵施設で「ハイストレージ(HyStorage)」という名のプロジェクト
を行っている。天然ガスに水素を混ぜたメタン・水素混合ガスを多孔質岩石層の旧
天然ガス貯蔵施設に貯蔵。機械的な設備と多孔質岩貯蔵施設への影響を調べる。注
入と抽出を通してガスの質が変化するかどうかも調査する。
第1フェーズでは水素混合率5%のガスを注入・抽出して影響や成果を調べた。同社
によると、注入した水素の約90%と取り出すことができた。また、貯蔵施設内での
水素の分布に偏りはなく、貯蔵施設のパフォーマンスにも変化がなかった。水素に
よる素材の腐食は差し当たり確認されていない。
今後は第2フェーズと第3フェーズを行い、2025年にプロジェクトを終了する予定。
第2フェーズでは水素混合率を10%、第3フェーズでは同25%へと引き上げる。とも
に3カ月の貯蔵期間を計画している。
製造業や交通での水素利用が今後、本格化すると、貯蔵ニーズが高まる。需給の調
整で大きな役割を果たせるためだ。今回のプロジェクトでポジティブな結果が出れ
ば、独南部の多孔質岩石層だけでなく、フランスからオーストリアにまたがるアル
プス北部のモラッセ盆地全域で水素貯蔵の将来性が高まるという。