ハンガリー政府は14日、ブダペストの旧工業地帯の再開発計画でアラブ首長国連邦
(UAE)と実現に向けた協定を結んだ。同計画は高層ビルが立ち並ぶUAEの都市ドバ
イを模して行われることから「ミニ・ドバイ」と呼ばれる。投資規模は50億ユー
ロ。政府がUAEの不動産デベロッパー、イーグルヒルズ・インターナショナルと提
携して進める。
ミニ・ドバイはブダペスト北西部で廃駅となっているラコスレンデゾ駅と、周辺の
放棄された工業地帯を再開発し、生活や経済、交通のハブとして整備するもの。面
積130ヘクタールの同地区にはオフィス、住宅、商業施設が建設されるほか、緑地
が設置される。政府は約10億ユーロを拠出して地下鉄の延伸などを行う予定だ。
シーヤールト外務貿易相は「観光、経済、ビジネス、スポーツの機能を備えた新し
い都市地区として生まれ変わる」と話す。
同計画は都市の眺望に影響を及ぼすとして議論の対象にもなっている。同市では高
さが90メートルを超える建築物の建設が禁止されており、65メートルから90メート
ルの高さはケースバイケースで判断される。仮にドバイにあるような高さ数百メー
トルの高層建築物を建設する場合は建築基準を緩和する必要がある。高さが143
メートルの石油ガス大手MOLの社屋は現在の建築規準が制定された2017年以前に承
認されたものだ。
ハンガリーはポピュリストのオルバン首相率いる現政権の強権的な姿勢が欧州連合
(EU)に問題視され、補助金交付が凍結されているため、政府は中東やアジアから
投資を呼び込むことに注力している。同国とUAEは今回、貿易と投資の促進を目的
とした経済協力協定にも署名した。