独商用車大手ダイムラー・トラックのバス子会社ダイムラー・バスズ(旧エヴォバ
ス)は18日、収益力の強化方針を発表した。DX(デジタルトランスフォーメーショ
ン)、GX(グリーントランスフォーメーション)に必要な投資資金を確保し、競争力
を長期的に維持できるようにする狙い。電動車の拡充やサービスの強化、製品・事業
プロセスのデジタル化を通して実現する。
ダイムラー・バスズの2022年の売上高営業利益率(調整済みベース)は0.4%、23年
は同4.7%だった。市場環境が良好であればこれを25年に8%、30年には9%へと引き
上げる目標を今回、打ち出した。
電動バスの需要は世界的に増えている。欧州連合(EU)ではバス会社が調達する近距
離路線バスの90%以上を炭素中立走行の車両とすることを義務付けるルールが30年に
施行される。長距離路線バスと観光バスについても、二酸化炭素(CO2)排出量が
45%少ない車両の調達が同年から義務化される。
同社はこうした動向を踏まえて電動車のラインナップ化に取り組んでおり、近距離路
線バスでは18年に電動モデルの販売を開始した。今後は長距離路線バスで20年代半ば
に市場投入。観光バスでも30年までに発売する計画だ。開発・生産コストを削減する
ため、ダイムラー・トラックの商用車と電動ドライブトレイン、その他の部品・技術
の共有化を図る。
サービスでは3Dプリント技術を活用して交換部品の供給を迅速化したり、電動車向け
インフラを一手に提供する能力を強化する。また、デジタル分析ツールや人工知能
(AI)をベースとするサービスを提供していく。20年代半ばからは無線通信を通して
ソフトウエアを自動更新できるOTA対応車を市場投入する計画だ。