国外から輸入したグリーン水素とその誘導体を欧州連合(EU)域内の需要家に妥当な
価格で販売するためにドイツが準備を進める「二重オークションモデル」という助成
の枠組みにカナダが参加する方向だ。ドイツのハーベック経済・気候相とカナダの
ジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は18日、同助成の資金を分担する覚書に調印
した。
両国政府は2022年8月、水素分野の協力協定(カナダ-ドイツ水素アライアンス)を締
結した。再生可能エネルギー電力で製造するグリーン水素の国際市場立ち上げを加速
させることが狙い。カナダ産のグリーン水素とその誘導体を25年からドイツに輸出す
ることになっている。
今回の覚書締結はこの枠組みに基づくもの。独港湾都市ハンブルクで両国が共同開催
した第1回二国間水素需要家会議で調印が行われた。会議ではグリーン水素の生産者
と需要家が水素取引実現に向け意見を活発に交換した。
政府の予測によると、ドイツ国内の水素需要は30年に95〜130テラワット時(TWh)に
達し、その後、さらに拡大していく。ドイツはグリーン水素の生産に必要は太陽光・
風力資源が潤沢でないことから、需要の半分以上を輸入で賄う見通しだ。
ただ、グリーン水素は化石燃料に比べ価格が割高であるため、ユーザー企業は国の支
援がなければ製品競争力を維持できない。政府はこの事情を踏まえ、二重オークショ
ンモデルを導入する。これは水素・誘導体の調達と販売でともに入札を実施するとい
うものだ。
調達入札ではグリーン水素と、アンモニアなどの誘導体をそれぞれ1社から購入す
る。提示額が最も低い応札者が落札する。契約期間が長く設定されることから、落札
者は事業計画を立てやすくなり安定供給につながる。
販売入札では提示額が最も高い応札者が落札する。販売価格は調達価格を下回る見通
しのため、差額を補助金で埋め合わせる。
カナダはこの埋め合わせ資金をドイツと共同で拠出する。独経済・気候省によると、
両国は4億ユーロを折半で負担するという。