ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日に発表した5月の乗用車新車登録台数は23万6,425台
となり、前年同月を4.3%下回った。減少は2カ月ぶり。電気自動車(BEV)の不振
が響いた。コロナ禍前の2019年同月に比べると約29%少なかった。
1〜5月の累計は117万4,312台で、前年同期を5.2%上回った。19年同期比では23%
減少している。
5月の新車登録を動力源の種類別でみると、BEVは前年同月比30.6%減の2万9,708台
となり、4カ月連続で縮小した。昨年末の補助金打ち切りがこれまでに引き続き響
いた格好だ。プラグインハイブリッド車(PHV)は1.7%増の1万4,038台で、PHVを
含むハイブリッド車(HV)は0.3%減の7万1,451台だった。ガソリン車は2.1%増の
8万9,498台、ディーゼル車は3.2%増の4万4,839台。
シェアをみると、BEVは前年同月の17.3%から12.6%へと急低下した。PHVは5.6%
から5.9%に拡大。HVも29.0%から30.2%へと伸びた。ガソリン車は2.4ポイント増
の37.9%、ディーゼル車は1.4ポイント増の19.0%だった。BEVとPHVの合計のシェ
アは18.5%(前年同月22.9%)、BEVとHVは同42.8%(46.3%)となっている。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は124.0グラムで、前
年同月から3.3%増加した。BEVの減少が響いた。
新車登録の伸び率が最も大きかった部門はコンパクトカーで、29.1%に達した。2
位はミニバンで13.0%、3位はユーティリティーズ(ハイルーフコンビ、マイクロ
バス、ピックアップ)で2.1%となっている。小型車(38.6%減)と大型車
(30.7%減)は大幅に落ち込んだ。
シェアではSUVが29.3%(前年同月31.4%)となり、これまでに引き続き断トツの1
位を保った。2位はコンパクトカーで、前年同月の16.0%から20.4%へと大きく拡
大。3位の小型車は12.5%から11.0%に低下した。4位はオフロード車で10.5%、5
位は中型車で9.4%だった。
伸び率が最も大きかったブランドはBEVの米ルシードで、前年同月比1,200.0%増の
13台を記録した。台数自体が少ないことから、増加数が少ないにもかかわらず増加
率が極端に大きくなった。同じ事情で中国勢のAiways=愛馳(300.0%増の4台)、
BYD=比亜迪(272.2%増の201台)、マクサス(116.7%増の13台)も急拡大した。
ドイツ車はオペルが29.3%増の1万3,455台と大きく伸び、VW(8.7%増の4万
7,636)も前年同月を上回った。そのほかはすべて減少。ポルシェは0.6%減の
2,974台、スマートは7.0%減の1,509台、アウディは17.7%減の1万8,233台、MANは
27.6%減の144台、フォードは28.6%減の7,791台、メルセデスは28.9%減の1万
9,832台、BMWは32.5%減の1万8,568台、ミニは48.7%減の1,943台だった。
日本車は総じて好調で、レクサスは56.3%増の375台、トヨタは12.8%増の6,509台
と2ケタ台の伸びを記録した。三菱(7.4%増の1,652台)、ホンダ(7.4%増の465
台)、マツダ(6.8%増の3,501台)、日産(5.3%増の1,914台)、スズキ(0.7%
増の1,489台)も増加している。スバルは6.7%減って321台となった。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、プジョー(70.9%増
の6,016台)、ボルボ(64.9%増の5,098台)、MGロエベ(51.6%増の2,699台)、
セアト(40.2%増の1万6,036台)、シュコダ(32.9%増の1万7,486台)、シトロエ
ン(17.8%増の4,359台)は増加。フィアット(4.8%減の5,376台)、ダチア
(9.2%減の5,135台)、現代(13.0%減の8,129台)、起亜(13.4%減の5,791
台)、ルノー(14.7%減の4,512台)は落ち込んだ。BEV専門のテスラ(64.0%減の
1,896台)はシェアが0.8%となり、前月同様1%を割り込んだ。
中国のGWM(長城)は72.9%増の268台、NIO(蔚来)は20.5%減の35台、ベトナム
のビンファストは8台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した5月の国内乗用車生産台数は30万
7,500台となり、前年同月を18%下回った。輸出台数も16%減って30万8,000台と
なった。1〜5月の累計は生産台数が前年同期比6%減の173万6,900台、輸出台数が
3%減の132万9,500台だった。