ドイツ連邦ネットワーク庁は22日、天然ガスパイプライン運営事業者の業界団体FNB
ガスが提出していた水素中核輸送網構築計画を承認したと発表した。全国をカバーす
る水素パイプライン網の構築にゴーサインが出た格好で、国内外の水素製造事業者や
需要家など関連する企業は事業計画を具体化することが可能となった。ロベルト・
ハーベック経済・気候相は、「中核輸送網はエネルギー転換の中心的な礎石だ」と意
義を強調した。
中核輸送網は全国の港湾、産業地域、貯蔵施設、発電所などを結ぶ主要なパイプライ
ン網で、ドイツを東西南北に走る。「水素アウトバーン」とも呼ばれる。FNBガスは7
月、2032年までに運営を開始するパイプラインを対象とする同輸送網の構築計画を
ネットワーク庁に提出していた。総延長距離は9,666キロメートルとしていた。
同庁はこれを9,040キロに縮小したうえで計画を承認した。パイプラインは40%を新
設し、残り60%は天然ガスパイプラインの転用で確保する。25年にも操業が部分的に
開始される見通しだ。
投資額は189億ユーロを見込んでいる。需要家が支払う輸送料金を通して回収するも
のの、需要家が少ない当初の段階では料金が極めて割高となり、水素経済の立ち上げ
に急ブレーキがかかる恐れがあることから、市場の状況を踏まえてネットワーク庁が
低めの料金を設定。その差額を「償却口座」という特設の支援口座を通して国が一時
的に肩代わりする。これにより、需要の順調な拡大を底支えしていく。国の肩代わり
分は将来の料金収入で返済される。