セルビア、ドイツの支援で初のグリーン水素プロジェクトを推進

セルビアが同国初の水素パイロットプロジェクト「HyDセルビア」を進めている。
ドイツのエネルギー企業、ライプチガー・エナギーと提携して実施しているもの
で、ドイツ政府が国家水素戦略(NHS)の枠内で資金を援助している。
独経済・気候保護省(BMWK)の運営するポータル「EnArgus」によると、HyDセルビ
アは、セルビアの多地点におけるグリーン水素および派生製品の量産に向け、太陽
光発電設備と水電解槽を一体化した小型設備を試験するのが目的だ。実施期間は
2022年12月1日から26年6月30日まで。政府が350万ユーロを助成するほか、フラウ
ンホーファーCSP(シリコン・太陽光発電技術センター)に、セルビアにおけるグ
リーン水素および派生製品の大量工業生産・輸送・輸出の可能性について調査を委
託した。
政府は今回のプロジェクトが、グリーン水素生産における技術・規制・商業面の基
盤となり、将来の量産化に向けたケーススタディの役割を果たすと見込む。また、
セルビアに気候中立のエネルギー源の安定的・かつ確実なサプライチェーンを構築
することで、将来的にドイツの需要を部分的にカバーすることにも期待をかけてい
る。
ドイツ復興金融公庫(KfW)のクラウス・ミュラー南東欧・トルコ地域統括責任者
は10月下旬、セルビアのドゥブラフカ・ジェドヴィッチ・ハンダノヴィッチ・エネ
ルギー鉱業相と会談し、グリーン水素を含む革新的な再生可能エネルギー・プロ
ジェクトへの投資に前向きな姿勢を明らかにした。対象には民間企業が進めるパイ
ロットプロジェクトも含まれる。その数日後、現地メディアに対し、すでにHyDセ
ルビアを支援している事実を指摘した。
独政府は国際水素プロジェクト支援ガイドラインを通し、次世代技術となりうるが
現時点では採算の取れないプロジェクト及び関連調査に最高1,500万ユーロを助成
する政策を進めている。BMWKによると、欧州連合(EU)・欧州自由貿易連合
(EFTA)に加盟していない国々で、グリーン水素および派生製品の生産・貯蔵・輸
送を拡大するとともに、水素の統合的な利用を進める方向だ。これにより、◇国際
的なグリーン水素市場の成長◇国外におけるドイツの技術の普及◇グリーン水素輸
入への布石を打つ——を狙う。

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