第3四半期GDP+0.1%に、速報値から0.1ポイ ント下方修正

ドイツ連邦統計局が22日に発表した2024年7-9月期(第3四半期)の国内総生産
(GDP)は物価調整後の実質に季節要因と営業日数を加味したベースで前期を0.1%上
回った。プラス成長は2四半期ぶり。外需は大きく落ち込んだものの内需が増加。景
気後退局面(2四半期以上続くマイナス成長)入りがかろうじて回避された。成長率
は速報値の0.2%から0.1ポイント下方修正された。
個人消費(民間最終消費支出)は0.3%増となり、2四半期ぶりに拡大した。前期は0.
5%落ち込んだことから、そのベース効果が大きい。大幅なベースアップを背景に実
質賃金は伸びているものの、景気低迷の長期化や失業懸念の強まりを背景に財布のひ
もは一向に緩まない状況だ。政府最終消費支出は0.4%増となり、2四半期連続で拡大
した。
総固定資本形成は0.1%減少した。建設投資が0.3%後退。設備投資は0.2%減とな
り、4四半期連続で縮小した。受注不足を受けて企業が設備投資を見合わせている。
「その他の投資」は0.6%増だった。在庫調整はGDP成長率への寄与度が0.8ポイント
と極めて大きかった。その効果で内需全体の成長率は1.0%に押し上げられた。
物品とサービスの輸出は1.9%減少した。物品が2.4%縮小し大きな足かせとなった。
輸入は0.2%増で、物品に限ると増加幅が1.3%に上った。GDP成長率に対する外需
(輸出−輸入)の寄与度はマイナス0.9ポイントとなり、前期のマイナス0.4ポイント
から一段と悪化した。本来は成長エンジンであるはずの外需がドイツ経済の足かせに
なっている。
粗付加価値は0.2%減となり、3四半期連続で縮小した。大半の部門で減少。下げ幅は
製造業で1.4%、建設業で1.2%、金融・保険で0.9%、情報・通信で0.4%、企業向け
サービスで0.3%、不動産で0.2%に上った。流通・運輸・宿泊・飲食業は0.1%増加
し、3四半期ぶりに拡大へと転じた。
欧州連合(EU)統計局ユーロスタットによると、EUとユーロ圏の第2四半期のGDPはそ
れぞれ0.3%、0.4%拡大した。主要国をみると、スペインは0.8%増、フランスは
0.4%増を記録。ドイツを下回ったのはイタリア(0.0%)だけだった。
ドイツのGDPは22年第4四半期以降、低下と上昇を交互に繰り返し、低迷が長期化して
いる。この間のGDPを指数ベース(2020年=100)でみると、最低が104.55(24年第2
四半期)、最高が105.00(23年第3四半期)と変化の幅が小さい。24年第3四半期は
104.66にとどまった。
ロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー価格の高騰とインフレショックが現在も企
業活動と個人消費の足かせとなっている。エネルギー集約型産業が多い中間財では9
月の生産指数が83.5となり、エネルギー危機前の21年平均(100)を16.5%も下回っ
た。製造業の危機は中国経済の悪化や受注不足を通して自動車、機械など投資財分野
にも広がっており、ドイツ経済は抜本的な構造改革が避けられない状況だ。

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