ドイツ連邦統計局が15日に発表した2024年の国内総生産(GDP、速報値)は物価調
整後の実質で前年比0.2%減となり、前年に引き続き落ち込んだ。2年連続のマイナ
ス成長は同国が深刻な構造危機に陥っていた02年・03年以来で21年ぶり。ルート・
ブラント局長は「2024年は景気的・構造的な負荷がより良い経済発展の障害になっ
た」と指摘。具体的には主要な輸出市場での競争激化、エネルギーコスト高、高金
利の継続、経済の先行き不透明感が成長を阻害しているとの見方を示した。
コロナ禍が発生した20年以降の5年間でプラス成長となったのは21年と22年だけ
で、残り3年はマイナス成長となった。経済の低迷が長期化している。
実質GDPを項目別でみると、個人消費(民間最終消費支出)は0.3%増となり、2年
ぶりに拡大した。高インフレを受けて賃金が押し上げられたことが背景にある。た
だ、インフレ率を加味した実質賃金が大幅に上昇していることを踏まえると、個人
消費の伸びは小さい。エネルギー価格の高騰で押し上げられた食料品などの価格が
高止まりしていることや、景気の悪化に伴う失業懸念の強まりが響いている。支出
の下げ幅は飲食・宿泊で4.4%、衣料品・靴で2.8%に上った。ヘルスケア(2.8%
増)と交通(2.1%増)は増加した。
政府最終消費支出は2.6%拡大した。医療や介護など社会保障給付が膨らんだこと
が大きい。
総固定資本形成は2.8%減となり、3年連続で落ち込んだ。建設投資が3.5%減、設
備投資が5.5%減とともに大きく後退。建設投資の減少は4年連続、設備投資は同2
年連続となった。
内需全体では前年を0.2%上回り、2年ぶりに拡大した。
製品とサービスの輸出は0.8%減少した。電気装置、機械、自動車が特に振るわな
かった。輸入が0.2%増えたことから、外需(輸出−輸入)はGDP成長率を0.4ポイ
ント押し下げた。
粗付加価値は実質0.4%縮小した。鉱工業が3.0%減、建設業が3.8%減となり、足
を強く引っ張った格好だ。製造業では主力産業の機械と自動車が特に振るわなかっ
た。
化学や金属なエネルギー集約型産業は横ばいを保った。エネルギー価格高騰の影響
で前年に大幅減となったことから、水準自体は低い。
建設業では建材・人件費の上昇と高金利の影響で住宅部門の縮小が続いている。土
木は道路・鉄道・送電・通信インフラの近代化投資が追い風となり、前年を上回っ
た。
サービスでは情報・通信が2.5%増と好調だった。流通・運輸・宿泊・飲食は消費
抑制の影響で横ばいとなった。小売(自動車を除く)と運輸が増加したのに対し、
卸売、飲食、自動車販売は減少した。
企業向けサービスはゼロ成長だった。
地方と社会保険を含めたドイツ全体の財政収支は1,130億4,100万ユーロの赤字と
なった。赤字は5年連続。エネルギー危機対策が23年末で終了したことから、国
(連邦)の赤字幅は縮小したものの、州、市町村、社会保険では膨らんだ。
財政赤字の対名目GDP比率は前年と同じ2.6%となり、同3%以内に抑制することを
義務付けた欧州連合(EU)のルールを3年連続で遵守した。