欧州自動車業界がEUに政策見直しを要求

欧州自動車工業会(ACEA)のオラ・ケレニウス新会長(独メルセデスベンツ社長)
は16日、ブリュッセルモーターショーで講演し、脱炭素に向けた政策の見直しを欧
州連合(EU)に要求した。欧州市場での電動車販売が失速し、現状では今年から大
幅に強化される新車の二酸化炭素(CO2)排出規制を大半のメーカーが遵守でき
ず、巨額の制裁金支払いが避けられなくなる見通しを踏まえたもの。制裁金の支払
いはメーカーの投資力を低下させ、自動車産業だけでなく欧州経済全体に悪影響を
もたらすとして、「自動車産業の脱炭素化は経済成長と競争力を創出するものでな
ければならない」と強調した。
EUでは乗用車とバンのCO2排出規制が2025年から強化され、許容上限が従来の走行1
キロメートル当たり平均116グラムから93.6グラムに引き下げられる。達成できな
いメーカーには制裁金が課される。
欧州では電気自動車(BEV)の販売が昨年から低迷している。補助金の打ち切りな
どを背景に割高感の強いBEVの需要に急ブレーキがかかっているためで、現状では
ほとんどのメーカーが制裁金支払いを余儀なくされる見通しだ。
ケレニウス氏は、25年からの排出強化規制が制定された当時と現在とでは地政学
的・マクロ経済的な枠組み条件が大きく変化したと指摘。この変化を踏まえて規制
を緩和・柔軟化しなければならないと訴えた。未達メーカーが巨額制裁金を科され
ると、自動車産業の構造転換に対応するために必要なGX(グリーントランスフォー
メーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)投資を行えなくなるとし
ている。
EUの主要目標である50年までの気候中立実現やモビリティのゼロエミッション化に
ついては、これまでに引き続き支持の意向を表明した。

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