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2013/5/3

総合 – 自動車産業ニュース

欧州議会環境委が車排ガス規制案を承認、25年までの削減目標盛り込む

この記事の要約

欧州議会環境委員会は4月24日、欧州連合(EU)域内で販売される新車を対象とする2020年と25年までの二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を定めた規制案を承認した。欧州委員会が昨年7月に発表した原案には25年を期限とす […]

欧州議会環境委員会は4月24日、欧州連合(EU)域内で販売される新車を対象とする2020年と25年までの二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を定めた規制案を承認した。欧州委員会が昨年7月に発表した原案には25年を期限とする数値目標は盛り込まれていなかったが、環境委はさらに一歩踏み込んで野心的な削減目標を打ち出した。今後、欧州議会本会議とEU閣僚理事会で規則案について検討する。

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EU域内で販売される乗用車(新車)のCO2排出量は11年時点で走行1キロメートル当たり平均135.7グラム。現行規則は15年までにこれを平均130グラムに削減する義務的数値目標を掲げ、06年の排出実績に基づいてメーカーごとに排出枠を設定して削減できなかった場合は超過分に制裁金を科すと定めている。環境委で承認された案によると、各メーカーは20年までに乗用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり95グラム、25年までに68-78グラム以下に削減しなければならない。また、14年から導入される軽商用車の排ガス規制も強化され、メーカーは10年の平均181.4グラムを17年に175グラム、20年に147グラムまで削減することを義務づけられる。

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一方、メーカーに対する奨励策として、走行1キロメートル当たりのCO2排出量が50グラム未満の低公害車を対象に、「スーパークレジット」と呼ばれる優遇措置が適用される。具体的には14-15年に販売される低公害車について、1台販売するごとに3.5台を販売したとみなし、総排出量を換算後の「みなし台数」で割ることで、他モデルを含めた1台当たりの平均排出量を削減できる仕組み。これにより、大型車が主体の独ダイムラーやBMWなども目標達成が可能になる。実際の販売台数に対する乗数は16年から段階的に引き下げられ、優遇措置は24年末で打ち切られる。

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欧州自動車工業会(ACEA)は新たに25年を達成期限とする数値目標が盛り込まれたことに強く反発している。ホダッチ専務理事は現時点で20年以降の目標を設定するのは「時期尚早」との考えを示し、「長期的な削減目標は必要だが、政治的な目標ではなく、あくまでも科学的評価に基づく数字でなければならない」と強調した。

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一方、環境保護団体や消費者団体などは長期的な削減目標が設定されたことを歓迎している。ただ、スーパークレジットについては欧州議員の間でも「規制の抜け穴」(欧州緑の党)といった指摘があり、欧州消費者機関(BEUC)首脳はメーカーに対する救済策として同措置が安易に適用されることがあってはならないと警告している。

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