電気駆動車、当面はプラグインモデルが柱に=BMW開発担当取締役

独高級車大手BMWのクラウス・フレーリッヒ取締役(開発担当)は独業界紙『オートモビルボッヘ』(5月30日付)に掲載されたインタビュー記事の中で、電気自動車や自動運転技術などについて語った。

電気自動車が社会に広く普及するための課題については、産業側のコスト削減努力と妥協しない車づくり(エモーショナルで運転の歓びを感じられる電気自動車)の2点を挙げた。また、BMWが「iブランド」を立ち上げ電気駆動車にBMWブランドとは異なるデザインを採用している点については、「消費者が電気駆動車を認識できなければ一般的になるチャンスはない」と説明した。

また、フレーリッヒ取締役は、「我々(BMW)は当初、(同社の)二酸化炭素(CO2)の目標を達成するためにも、2020年の電気駆動車の市場浸透率で10%を予想していたが、現在の見通しではこの浸透率は達成できない」と述べ、「我々はさらに戦略を練らなければならず、プラグインハイブリッド車は不可欠な構成要素となる」と語った。

さらに同取締役は、都市交通を電気駆動車に限定する規制などに対応するため電気駆動車のラインアップを拡充しなければならず、BMWが世界で販売するプラグインハイブリッド車のラインアップは2020年には2ケタ台のモデルになるだろうとの見通しも示した。

■ 自動運転車の普及、顧客ニーズと事業モデルが推進役に

フレーリッヒ取締役は自動運転車の普及を推進する要素として、顧客ニーズと事業モデルの2つを挙げた。顧客ニーズに関しては、渋滞時の運転や大都市で駐車スペースを探す面倒さなどを考えると自動運転のニーズはある、と回答。また、グーグルやリフト、ウーバーなどの新しいモビリティーサービスを提供する事業者は、事業モデルを最適化するために自動運転を必要としている、と語った。

自動運転に必要な技術としては、高精度の地図データとセンサー群を挙げた。BMWは地図データに関しては、独高級車大手のダイムラー、アウディと共同でノキアのマッピング・位置情報サービス子会社ヒア(HERE)を買収している。センサーについては、センチメートル単位の精度で周辺状況を把握できるセンサー群を自動車に搭載する必要があるが、まだそのようなセンサーはない、と説明。車両のルーフ上に設置する高精度のレーザーレーダー(LIDAR=ライダー)は何千ユーロもするなどコストが課題となっており、当該分野ではまだ多くの開発余地がある、と語った。

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