鉄鋼世界最大手のアルセロールミタル(ルクセンブルク)は6月30日、伊同業マルチェガリアと組んで、伊鉄鋼最大手イルバに買収を提案したと発表した。伊政府系金融機関のイタリア預託貸付公庫(CDP)が率いる企業連合に対抗する形となる。
イルバは伊南部ターラントにある製鉄所が粉じんによる周辺住民の健康被害を引き起こしたため、2012年に政府の管理下に置かれた。さらに競争激化で赤字が続いていることから、政府は昨年、雇用維持のため国有化していた。
アルセロールミタルは声明で、イルバの経営改善に向けて、現在は480万トンとなっているターラント製鉄所の粗鋼生産量を20年までに600万トン超に引き上げる意向を表明。資本注入によって生産性向上、環境問題の改善も図るとしている。
イルバをめぐっては、CDPが伊鉄鋼企業アルベディなどと共同で買収を提案している。両グループの提案内容は不明だが、消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、CDP連合の買収額は5~10億ユーロに上るという。
政府は120日以内に両グループの買収提案を精査し、売却交渉を開始する予定という。