ハンガリーの新法は不当、米ウーバーが欧州委に抗議

米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズは8月10日、同社の事業継続を不可能にしたハンガリーの新法は欧州連合(EU)単一市場の基本原則に反するとして、欧州委員会に苦情を申し立てたことを明らかにした。ハンガリーでは7月末、国内に配車センターを持たない事業者の営業を禁止する法律が施行され、これを受けてウーバーはすでに同国から撤退している。ウーバーをめぐっては、同社にシェアを奪われたタクシー業界の強い反発を背景に、EU内で規制を強化する動きもみられるが、欧州委は「シェアリングエコノミー」の成長を促進するため、加盟国に普及を妨げる過剰規制を控えるよう求めており、ウーバーによる申立てへの対応が注目される。

ウーバーは2014年11月にハンガリーで携帯アプリを利用した配車サービスを開始したが、料金が一般のタクシーを大幅に下回るため、タクシー業界が政府に規制強化を訴えていた。昨年にはウーバーのドライバーにタクシー免許の取得を義務付ける政令が発布されたが、それでも業界側の反発が収まらず、同社の営業を実質的に禁止する法律が施行された。

新法は当局が「国内に配車センターを持たないタクシー業者」の営業を禁止できるという内容。違反した場合は1年間の営業停止と最大20万フォリント(約640ユーロ)の罰金のほか、メディア通信庁(NMHH)の権限で違反業者が運営するサイトやアプリへのアクセスを遮断できるなど、厳しい罰則が盛り込まれている。

ウーバーは新たな規制の導入によって営業が不可能になると判断し、新法が施行された7月24日付でハンガリーでのサービス提供を打ち切った。同社によると、撤退を発表した先月半ばの時点で1,200人がドライバーとして登録し、ユーザー登録数は約16万人に上った。

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