マースクが2部門に分割、石油部門は分離へ

デンマーク最大の企業であるコングロマリット(複合企業)のAPモラー・マースクは22日、グループをコンテナ海運世界最大手のマースク・ラインを中核とする運輸・物流部門と石油関連部門の2つに分割すると発表した。海運不況と原油安という二重苦に直面し、業績悪化が続くグループの立て直しが目的だが、石油部門は分離を検討しており、最大の収益源である運輸・物流部門に集中する形となる。

マースクは業績改善に向けて、ニルス・アンデルセン最高経営責任者(CEO)が7月1日付で退任し、マースク・ラインのソレン・スコウCEOがグループのCEOを兼任する体制に移行した。ラスムセン会長は6月に同人事を発表した際、グループ分割も検討していることを明らかにしていた。

声明によると、グループは海運、港湾運営事業などからなる運輸・物流部門と、石油開発や掘削、タンカー運営などエネルギー部門に分割される予定。マークス・オイルを中心とするエネルギー部門については、他社との合弁、合併、上場による分離を検討する。2年以内に具体的な方針を決める。

ラスムセン会長は両部門の事業が根本的に異なり、特有の課題に直面していることから、2つの独立した部門となって、それぞれの事業に集中するのが望ましいと指摘。「世界レベルの運輸・物流サービス」が成長の主軸になるとして、運輸・物流部門に経営資源を集中していく方針を示した。

スコウCEOは同戦略に沿って、マースク・ラインの底上げに向けて、買収を進める意向を表明。一方、エネルギー部門の分離に関しては、石油事業が厳しい状況に陥っているだけでなく、長期的にも先細りが避けられないとの判断が働いたことを明らかにした。

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