ドイツの連邦参議院(各州の代表で構成され上院に相当)は9月23日、2030年から乗用車の新車登録をエミッションフリーの車両のみとするべきであるとする決議を可決した。この決議は法的拘束力を持たず、欧州連合(EU)の欧州委員会がまとめた提案に対する態度表明を連邦政府に示すにとどまるが、独『シュピーゲル』誌の報道によりこの事実が明らかになり、政界でも今回の決議に対しさまざまな意見が出ている。
今回の決議は、欧州連合(EU)の欧州委員会がまとめた「低エミッションモビリティのための欧州戦略に関する提案」に対する態度表明をまとめたもの。連邦参議院は「2050年までにEU域内でほぼエミッションフリーのモビリティを達成する」という欧州委員会の目標を明確に支持する一方、目標達成に向けた対応は十分ではないと指摘している。
具体的には、2030年から乗用車の新車登録をエミッションフリーの車両のみに限定するため、加盟国の従来の税金や料金制度をエミッションフリーのモビリティを促進する効果があるかに焦点を当てて評価することを提案している。また、「エミッションフリー・モビリティへの転換を推進するため、車両や燃料に対する税金や料金で欧州全体が連携することが望ましい」との姿勢も示している。
連邦参議院の今回の決議については、バーバラ・ヘンドリクス連邦環境相(SPD:社会民主党)が賛意を示す一方、アレクサンダー・ドブリント連邦運輸デジタルインフラストラクチャー相(CSU:バイエルン・キリスト教社会同盟)は、「2030年から内燃エンジン車を搭載する新車販売を禁止することは全く非現実的」と批判しており、ホルスト・ゼーホーファーCSU党首も、「環境保護は支持しているが、禁止による環境保護には反対する」との見解を示した。