仏石油大手トタルは7日、特殊化学品部門アトテックを32億ドルで米投資ファンドのカーライル・グループに売却すると発表した。原油相場の低迷が収益を圧迫する中、トタルは2017年末までに総額100億ドル相当の資産売却を計画しており、アトテックの売却もその一環。競争当局の認可を経て取引が成立した場合、15年以降にトタルが売却した資産は総額86億ドルに達する。
アトテックはプリント基板や半導体などの製造過程で使用される化学素材や、自動車部品、建設重機、医療機器などに用いられる金属の表面処理剤などを手がける。中国やドイツを中心に、欧米アジアの18カ所に生産拠点を置き、従業員4,000人を擁する。15年の売上高は約10億ユーロ。
カーライルへの売却額は15年のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の11.9倍に相当する。関係筋によると、カーライル以外にロンドンに本社を置くCVCキャピタル・パートナーズや、英BCパートナーズと英シンベンによるコンソーシアムもアトテックの買収に乗り出していた。