BMWの新型「5シリーズ」、CFRPの採用見送り

独高級車大手のBMWは炭素繊維複合材(CFRP)を使用した車体構造の採用を量産モデルの一部にとどめている。独『ツァイト』紙(電子版)によると、BMWがこれまでにCFRPを採用した「i3」、「i8」、「7シリーズ」の生産規模は年約13万台にとどまるという。BMWがこのほど発表した新型「5シリーズ」では、CFRPを使用しておらず、アルミニウム、高張力鋼板、マグネシウムの採用により、車体重量を最大100キログラム削減している。

BMWは同紙のCFRPに関する質問に対し回答を控えたが、他の独自動車メーカー関係者は同紙に対し、量産モデルへのCFRP採用にはコストや製造・加工工程の改善が必要と指摘している。

オペルの広報担当者は『ツァイト』紙に対し、「CFRPは製造・加工に必要なエネルギー、時間、コストの負担が大きく、超高級車やスーパースポーツカーでは採算が合うが、量産車への採用は難しい」とコメントしている。メルセデス・ベンツの開発関係者もCFRPの本格導入には、「コスト削減と生産プロセスの簡易化を大幅に進める必要がある」と述べ、「自動車製造への採用で有利になるためには、CFRPの価格が1キログラム当たり約20ユーロになる必要がある」と指摘する。ただ、コスト削減はこれまでもかなり進んでおり、現在は1キログラム当たり約100ユーロの水準にある、と説明している。

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