中国鉄鋼製品で新たなダンピング調査、耐食鋼など対象に

欧州委員会は12月9日、中国製の耐食鋼と、中国およびインド製の鋳鉄製品に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の申立てを受けた措置で、欧州委は関係各方面への聞き取りなどを通じてダンピングが行われているかどうか調査する。欧州委はまた、すでに6カ月の暫定措置として反ダンピング関税を適用している中国製のシームレス鋼管について、同措置をさらに5年延長するかどうか近く判断する方針を示している。

反ダンピング調査は最長15カ月をかけて行われるが、その間にダンピング行為が明白になった場合、調査開始から9カ月以内に期間6カ月の暫定措置として反ダンピング関税を適用することができる。最終的にダンピングによって域内メーカーが損害を受けていると判断した場合、調査終了時から5年間にわたり反ダンピング関税が適用される。

EUは現在、40件の反ダンピング措置を発動しており、このうち中国からの輸入品に対する措置が18件に上る。このほか欧州委は現在、中国製などの鉄鋼製品に対する20件以上の反ダンピング調査を実施しており、このうち3件に暫定措置として反ダンピング関税を適用している。

中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから11日で15年が経過し、2001年の加盟から15年間は非市場経済国として扱うとの規定が失効した。中国政府は同日付で自動的に市場経済国に移行すると主張してきたが、EU、日本、米国はいずれも認めていない。「非市場経済国」であれば第3国の価格をもとに不当廉売かどうか判断できるが、市場経済国と認定した場合、輸出価格が国内価格より大幅に安いと調査で証明する必要があるため、安価な輸入品に対して反ダンピング措置を発動することが困難になり、自国の製造業者はより一層厳しい競争にさらされることになるためだ。

中国はこうした日米欧の対応に反発を強め、WTOの協定違反で提訴する構えをみせている。そこで欧州委は先月、中国が市場経済国に移行した場合も、ダンピングに対して効果的に対抗策を講じることができるようにするための制度改正を提案した。WTO加盟国で輸出補助金などによる市場の「著しい歪み」が国内価格に影響を及ぼし、それによって輸入国の産業が損害を受けた場合、輸出国と経済状況などが似通った第3国の製品価格をもとに対抗策を講じることができるようにする、という内容で、現在、欧州議会と閣僚理事会で検討が進められている。

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