欧州連合(EU)は12月15日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、ウクライナ情勢を受けて発動したロシアに対する経済制裁について、来年7月まで6カ月間延長することで合意した。週内にも正式決定する。米国ではトランプ次期大統領が対ロ制裁に反対する米石油大手エクソンモービルのティラーソン会長を次期国務長官に選ぶなど、対露関係の改善に前向きな姿勢を打ち出すなか、EUとしてはウクライナ東部での停戦合意が履行されるまで制裁を維持する方針を改めて示した形だ。
首脳会議では一部の加盟国から対ロ制裁について慎重な意見も出たが、メルケル独首相とオランド仏大統領が制裁延長を強く求めた。一方、トゥスクEU大統領は会見で、トランプ氏の対ロ方針について質問されたものの「米新政権の対ロ政策は不明確な部分が多い。正式な就任を待たなければならない」と述べるにとどめた。
EUはロシアによるクリミア併合を受け、2014年8月に対ロ経済制裁を発動した。金融取引の制限、エネルギー分野における技術供与の制限、軍事関連の技術援助や資金援助の制限、資産凍結とビザ発給停止対象者のリスト拡大を柱とする内容。当初は1年間の期限付きだったが、その後、15年2月に成立した停戦合意をロシアが完全に履行するまで制裁を解除しない方針を決め、これまで半年ごとに制裁を延長している。