VWが排ガス不正で米10州と和解、総額1億5700万ドル支払い

欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は3月30日、排ガス不正問題に関連して米国の10州と和解したと発表した。VWはニューヨーク、マサチューセッツ、ペンシルバニアなど10州に対し、大気汚染の制裁金として総額1億5,745万ドルを支払う。同社はさらに、これら10州で2020年までに、新たに3車種以上の電気自動車を市場投入する義務を負う。

ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は会見で、VWから同州に支払われる3,250万ドルの制裁金は、大気汚染に関連した制裁金として過去最高額にあたると強調。「いかに巨大で強力な力を持つ企業であろうと、法律に違反することは許されない」と述べ、トランプ政権下で環境規制が形骸化されつつある中、率先して規制緩和に反対していく姿勢を示した。

VWは排ガス規制を逃れるため、全世界で約1,100万台のディーゼル車に「ディフィート・デバイス(無効化装置)」と呼ばれる違法ソフトを搭載していた。これは検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる仕組みになっており、走行時の排出量は検査時の約40倍に上るとされる。

米国では司法省が昨年1月、大気浄化法違反などの名目でVWを提訴したほか、州当局も大気汚染や消費者保護などの関連法に対する違反を理由に相次いで同社を提訴。このうち司法省とは今年1月、VWが民事制裁金や罰金など計43億ドルを支払うことで和解した。これは自動車メーカーに科された制裁金として過去最大。このほか44州と部分的に和解が成立し、VWは6億300万ドルの制裁金を支払うことで同意している。