独高級スポーツカーメーカーのポルシェは6月1日、イスラエルのテルアビブにイノベーションオフィスを開設すると発表した。新興企業の多いイスラエルに拠点を設けることで、新技術へのアクセスを強化し、将来のビジネスモデル構築に生かしていく。最初の取り組みとして、ベンチャーキャピタルファンドのマグマとグローブの2社に、数千万ユーロを投資した。今後さらに新興企業やファンドにも投資していく方針。
マグマ・ベンチャーズは1999年の設立で、人工知能や自動車分野に重点を置いている。すでに多くの新興企業に出資しており、全体で6億米ドルを運営している。
グローブ・ベンチャーズは2015年の設立で、現在1億米ドルの資産を運営している。モノのインターネット(IoT)やクラウド技術、人工知能などの分野における初期段階の技術に投資の重点を置いている。
ポルシェのルッツ・メシュケ副社長兼財務・IT担当取締役は今回の措置について、「イスラエルはIT専門家とエンジニアのトップマーケットだ。人口1人当たりの新興企業の数は世界のどの国よりも多い。このタレントと技術的なノウハウを我々の専門技術と組み合わせることは将来のビジネスモデル開発にとって理想的な培養地になる」とコメントした。
■ デジタル技術子会社を通して新興企業などとの協力関係を強化
ポルシェは2016年6月にデジタル技術子会社ポルシェ・デジタルを設立した。同子会社を通して、デジタル技術を活用したモビリティサービスの開発や事業プロセスの改善などに取り組む意向。2017年5月には、米カリフォルニア州のサンタクララにポルシェ・デジタルの北米拠点を開設したと発表した。また、2016年9月からは、ドイツのベルリンに「ポルシェ・デジタル・ラボ」を運営しており、革新的な技術を持つ企業や新興企業、研究者との協力関係を強化している。