独ボッシュ、納品遅延の伊部品会社を完全買収へ

独自動車部品大手のボッシュは1日、イタリアの自動車部品会社アルベルティーニ・チェーザレの完全買収を計画していると発表した。完全子会社化により、ボッシュが製造する電動ステアリングに必要な鋳造部品(ハウジング)の調達を確実にする。

アルベルティーニ・チェーザレは、ボッシュの電動ステアリング向けに鋳造部品を供給しているが、納品が滞り、ボッシュの電動ステアリングの納品先である独高級車大手BMWグループの生産ラインが5月下旬に減産・停止に追い込まれた。

アルベルティーニ・チェーザレは主に、例えば電動ステアリングなど、自動車業界向けにアルミニウム製の鋳造部品を製造している。ミラノ近郊のヴィッラサンタに本社を置き、イタリア北部に2拠点を持つ。従業員数は約400人。今回の取引により、同社のこれまでのオーナーは完全に資本撤退する。買収契約の詳細は公開しないことで合意している。買収成立には、カルテル当局の認可が必要となる。

ボッシュは同社を買収後、オートモーティブ・ステアリング事業部門に統合する計画。同事業部門は、乗用車や商用車向けのステアリング・システムソリューションを開発しており、世界12カ国に約1万5,000人の従業員を抱えている。

独業界紙『オートモビルボッヘ』(6月7日付、電子版)によると、カルテル当局はすでに今回の買収を認可したもよう。また、アルベルティーニ・チェーザレは以前から問題を抱えており、数カ月前からボッシュの支援を受けていたと報じている。従業員数は2014年の660人から400人に減少しており、以前は4カ所あった拠点も現在は2カ所に縮小しているという。同紙によると、同社の2015年の売上高は約1億ユーロで、これまでにボッシュのほか、ドイツの自動車大手のダイムラーやフォルクスワーゲン(VW)、自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンに部品を供給した実績がある。

上部へスクロール