対ロ制裁の6カ月延長で合意、クリミア制裁も1年延長へ

欧州連合(EU)は6月22日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、ウクライナ情勢を受けて発動したロシアに対する経済制裁を6カ月延長することで合意した。7月末の期限が迫るなか、ウクライナ東部での停戦合意が完全に履行されるまで制裁を継続する方針を改めて示した形。近く開く閣僚理事会で正式決定する。

トゥスク大統領は会議終了後、ツイッターで「(制裁延長で)合意した。ロシアが停戦合意を履行しない限りEUとして制裁を続ける」と表明した。

EUは2014年8月、ウクライナ東部で政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘が激化したのを受け、親ロシア派の後ろ盾とされるロシアへの経済制裁を発動した。金融取引の制限、エネルギー分野における技術供与の制限、軍事関連の技術援助や資金援助の制限、資産凍結や渡航制限を柱とする内容。当初は1年間の期限付きだったが、その後、15年2月に成立した停戦合意をロシアが完全に履行するまで制裁を解除しない方針を決め、これまで半年ごとに制裁を延長している。

一方、EU外相理事会は19日、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の編入を受けて実施しているクリミア製品の輸入禁止などの制裁措置を、18年6月23日まで1年間延長すると発表した。イタリアなど一部から制裁の効果を疑問視する意見が出たものの、延長に反対する国はなかった。

制裁には禁輸措置のほか、EU域内の企業および個人によるクリミアへの投資(企業買収、不動産の購入、現地企業への融資など)の禁止、クルーズ船の寄港など観光事業の禁止、輸送・通信・エネルギー分野のクリミア向け製品輸出および技術供与の禁止などが含まれる。外相理は声明で「引き続きロシアによるクリミアの違法な編入を非難し、今後も編入を容認しない政策を実行する」と強調した。

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