日・EUのEPA交渉が決着持越し、首脳会談での合意目指し再協議

日本と欧州連合(EU)は1日、2日間にわたる経済連携協定(EPA)交渉の閣僚協議を終了した。EU産チーズや日本製乗用車の関税撤廃をめぐって双方の隔たりを埋めることができず、決着を持ち越した。岸田文雄外相が週内にブリュッセルで再び閣僚協議に臨み、6日にも開かれる予定の日欧首脳会談までの大枠合意を目指す。

6月上旬に始まった首席交渉官レベルの協議を受けた今回の閣僚協議には、EU側から欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)とホーガン委員(農業・農村開発担当)が来日。岸田外相、山本有二農林水産相と断続的に協議を行った。

これまでの交渉で、EU側は日本に対し、欧州産チーズ全品目の関税撤廃などを要求。一方、日本側はEUが日本製乗用車にかけている10%の関税の早期撤廃を求めて調整が続いていた。今回の協議では、日本側は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の合意内容を踏まえ、一部のチーズの関税引き下げを提案したものの、EU側は日本が欧州産チーズの全面的な関税撤廃に合意しない限り、日本車に対する関税の早期撤廃に応じることはできないとの姿勢を崩さず、妥協点を見出すことができなかったもようだ。

日本とEUは7日に始まる20カ国・地域(G20)首脳会議前の日欧首脳会談を想定しており、そこでの大枠合意を目指し、事務レベルを含めて詰めの協議を行う。

マルムストローム委員は閣僚会議後の会見で、「合意は目の前だ。来週に予定される首脳会談での大枠合意は可能だと確信している」と発言。そのうえで、「EPAで合意できれば、日本とEUの間でほぼすべての関税が取り払われることになり、これは数十億ユーロの価値に相当する。世界で保護主義的な傾向が強まるなか、EUと日本が自由貿易を推進するという明確なシグナルにもなる」と指摘し、日欧EPAの意義を強調した。

一方、岸田外相は「有意義な進展もあったが、双方が詰めなければならない論点が残った」と発言。山本農水相は「EU側の要求が高く、まだ日本がのめる水準ではない」と語った。

日・EU間のEPAが実現すると、世界の国内総生産(GDP)の28%、世界の貿易額の37%を占める巨大な自由貿易圏が形成される。欧州委はEPAが発効すると、EUから日本への輸出が30%以上拡大し、経済の活性化や雇用創出につながると説明している。

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