独コンソーシアム、ドイツにセル工場建設へ・19年末にも着工

リチウムイオン電池向けセルの生産を計画するドイツのコンソーシアムであるTerraEホールディングは2019年末にも工場の建設を開始する見通しだ。ブルームバーグ通信が報じた。

同通信によると、TerraEホールディングのホルガー・グリツカ最高経営責任者(CEO)はインタビュー取材の中で、数カ月以内にもドイツあるいは近隣諸国で候補となっている5カ所から建設地を決定する見通しを明らかにした。生産能力は34ギガワット時となる見通しで、2019年第4四半期に鍬入れ式を行い、2028年にフル稼働体制に入る計画という。新工場では、自動車および非自動車分野にセルを生産する計画だが、グリツカCEOによると定置用蓄電池に重点を置く見通し。

同CEOは新工場について、「我々はプロセス技術において競合よりも優れていなければならない」と述べ、利益を確保するため、ドイツ産業における自動化技術や産業ロボット技術の強みを生かしていく意向を示した。

TerraEホールディングは17の民間企業や研究機関が参加するコンソーシアムで、本社をドイツ中部のフランクフルトに置く。当該プロジェクトはドイツの連邦教育研究省(BMBF)から520万ユーロの助成を受けている。ただ、グリツカCEOはプロジェクトの完了までに10億ユーロ以上の資金が必要となる見通しを示しており、資金確保に向けて戦略投資家を探していく意向を明らかにした。

■ ファウンドリーとしてさまざまな形状のセルを生産

TerraEが7月24日発表したプレスリリースによると、同社はドイツの2カ所に工場を建設する計画を検討している。工場は、様々な形状のセル生産に対応するいわゆる「受託製造(ファウンドリー)」を事業モデルとする。TerraEは工場の建設・運営を行い、顧客の仕様に合わせてリチウムイオン電池セルを生産する仕組み。

TerraEは現在、コンソーシアム内外で潜在的な顧客や投資家と交渉を開始している。特に産業セグメント(フォークリフト、造園機器、電動工具)、電力用蓄電設備、電気駆動車(市バス、乗用車、トラック)などの分野で交渉しているという。

TerraEホールディングは2017年5月に設立された。ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が支援したバッテリーセルの生産に関する研究プロジェクト「Giga-LIB」を基盤とする。「Giga-LIB」は、リチウムイオン電池に関連する主要企業や研究機関が参加する研究開発ネットワーク「KLiB」(Kompetenznetzwerk Lithium-Ionen Batterien)の一環として立ち上げられたプロジェクトで、BMBFは「Giga-LIB」に2015~2017年に総額520万ユーロを支援している。

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