電気自動車の割当制度導入を欧州委が否定、独連立政権内で意見対立

欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、EUレベルで電気自動車の割当制度を導入する計画はないことを明らかにした。同日付の独紙ハンデルスブラットの報道を否定したかたち。同紙はEU筋の話として、内燃機関を搭載した自動車からの撤退を加速させるため、欧州委が2025年から電気自動車など低公害車の割当制度を導入する方針と報じていた。

欧州委の報道官は記者団に対し、「欧州委は低炭素エネルギーや低公害車の普及を促進するための具体策を検討しているが、電気自動車の割当制度はそこに含まれていない。異なる技術を差別することはしない」と述べ、報道内容を否定した。

EUレベルで電気自動車の割当制度を導入する構想は、ドイツのメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む社会民主党(SPD)のシュルツ党首が提唱している。独経済省も自動車産業の技術革新を促し、ドイツが将来にわたって同分野で主導権を握るためにも、拘束力のある割当制度が必要との見解を示している。

これに対し、メルケル首相は割当制度の導入に否定的。首相は12日に開かれたCDUの集会で、EUレベルで割当制度を導入するには長期にわたる交渉が必要になるなどと指摘。SPDが提唱する案は「十分に練られているとは思わない」と述べたうえで、電気自動車への転換を促すため、業界全体に対する支援策についてより包括的な戦略が求められるとの考えを示した。