戸田工業(広島県広島市)と独化学大手のBASF は12月14日、日本と米国において電気駆動車用電池の材料である正極材事業の提携関係を強化すると発表した。日本では既存の合弁会社の生産能力を拡大した。米国ではBASFが過半数を出資する合弁会社を新たに設立し、両社の生産拠点を統合する。これにより、世界の主要地域で電池材料の需要に現地生産で対応できるグローバルな生産体制を構築する。
両社は2015年に合弁会社BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社(BTBM、東京都港区)を設立した。今回の提携強化では、小野田事業所に世界最大級の焼成施設を構築し、ハイ・ニッケル系正極材料の生産能力を従来に比べ3倍に拡大した。
米国では、BASFがデアラウエア州にリチウムイオン電池用正極材料の製造・販売を事業とする新会社BASF戸田アメリカ(BTA)を設立し、戸田工業の米子会社(TAI)が出資する。また、TAIはミシガン州のバトルクリークに保有する工場を、BASFはオハイオ州のエリリアにある工場の資産をそれぞれ新会社に譲渡する。BASFと戸田工業は、北米では電気駆動車(eモビリティ)市場の急速な拡大を受けて、電池材料への需要も急速に拡大すると見込んでおり、米国での協業拡大に踏み切った。