仏自動車部品大手のフォルシアは12月21日、スイスの排ガス浄化装置メーカーHug Engineering(以下、Hug)の資本の100%を買収することで合意したと発表した。Hugは出力が750hpを超える高出力エンジン向けの排ガス浄化装置を得意とする。買収手続きは、当局の認可を得て、2018年第1四半期に完了する見通し。Hugは、独自動車部品メーカーのエルリングクリンガー(以下、EK)の子会社。フォルシアは、EKからHugの資本の93.67%を取得する。買収金額については公表しないことで合意している。EKは、今回の取引により、排ガス浄化装置事業から撤退する。
Hugは、船舶や定置用発電設備、鉄道、農機などに使用する高出力エンジン向けの排ガス浄化装置を製造している。主要製品は、ディーゼル排気微粒子フィルター(DPF)のほか、選択触媒還元(SCR)、酸化触媒による排ガス浄化装置など。売上高は約5,000万ユーロ、世界5カ国に230人の従業員を持つ。
フォルシアによると、Hugは当該分野において欧州市場では最大手、世界市場でも最大手の1社に数えられる。また、高出力エンジン向けの排ガス浄化装置市場の規模は、現在、市場の25%が対象となっている排ガス規制の適用範囲が2025年までに市場の75%に拡大すると、24億ユーロに達すると予想されている。
■ 独エルリングクリンガー、排ガス浄化装置事業から撤退
EKは、今回の取引により、排ガス浄化装置事業から撤退する。同社によると、排ガス浄化装置の分野は、グローバル化の推進により、長期的に競争力を保持するためには今後さらに大きな投資が必要になる。このため、当該分野を売却し、今後は同社が将来分野として重視する軽量化と電気駆動車(エレクトロモビリティ)に経営資源を集中する。同社の電気駆動車の分野は、バッテリー技術、燃料電池技術、電気駆動システムを3本柱とする。
HugがEKグループの売上高全体に占める割合は2016年に約3%、2017年も同水準にとどまったもよう。