英自動車工業会(SMMT)が1月31日に発表した同国の2017年通期の国内自動車生産統計によると、乗用車の生産は167万1,166台となり、前年に比べ3.0%減少した。2010年以降、増加が続いていたが、2009年以来の8年ぶりの減少となる。国内向けが9.8%減と大幅に落ち込んだ。全体の約80%を占める国外向けも1.1%減少した。
SMMTは、企業や経済界の信頼感の低下、ディーゼル車に対する政策の混乱が国内需要の低下を招いている、と指摘している。また、英国の自動車産業の輸出への依存度の高さを強調し、英国の欧州連合(EU)離脱に関する交渉の早期合意を求めた。
英国製自動車の最大の輸出先は欧州連合(EU)で、全体の53.9%を占めている。国別では、米国が最も多く、ドイツが2番目に多い。
なお、EU域外では、日本(25.4%増)、中国(19.7%増)、カナダ(19.5%増)、米国(7.0%増)向けの輸出が伸びている。
SMMTによると、英自動車産業における2017年の投資額は約11億ポンドと、2016年の16. 6億ポンドを33.7%下回った。
■ 商用車生産は16.7%減、エンジン生産は6.9%増加
SMMTによると、2017年の商用車生産は前年比16.7%減の7万8,219台と、大幅に落ち込んだ。国内向けは25.0%減の2万9,320台となり、2009年(2万4,225台)以降では最低の水準となった。企業の信頼低下や購入サイクルの変動が生産台数に影響している。輸出向けも10.8%減の4万8,899台に減少した。ただ、全体に占める輸出の割合は62.5%と、前年(58.4%)を上回った。商用車の最大の輸出先はEU圏で、輸出の94.1%を占めている。
2017年のエンジン生産は、前年比6.9%増の272万2,325基に拡大した。近年の同国における新工場の建設や新しいエンジン開発への巨額投資が成長の背景にあり、国内向け(9.7%増)、輸出向け(4.8%増)のいずれも増加した。SMMTによると、2017年のエンジン生産の内訳は、ディーゼルエンジンが100万基強、ガソリンエンジンは約170万基だった。