独ボッシュ、エレクトロモビリティ戦略発表・電池セルは外部調達

独自動車部品大手のボッシュは2月28日、電気駆動車(エレクトロモビリティ)分野に関する今後の戦略を発表した。電池セルの自社生産の可能性を検討した結果、採算性の確保が難しく事業リスクが高いとの判断から、電池セルは外部から調達する方針を固めた。今後は、電気モーターやパワーエレクトロニクス、バッテリーシステムなど電気駆動の主要部品やシステムの開発・生産に注力する。

ボッシュのモビリティーソリューション部門の責任者であるロルフ・ブランダー氏は電池セルの自社生産を断念したことについて、「当社にとって、セルを技術的に理解できることは重要だが、自ら生産する必要はない」とコメントした。

ボッシュは今後、電気駆動システムに関するノウハウを高め、電気駆動車のエネルギー効率の向上や、部品の標準化による量産化・価格低化を通した電気駆動車の普及促進に尽力する方針。充電インフラ関連のソリューション開発にも取り組む。

■ 電気セルの研究活動を終了・売却

今回の決定に伴い、電池セルの自社生産の可能性を模索して進めてきた研究活動を終了する。ボッシュ、GSユアサ、三菱商事の3社で設立した合弁会社リチウムエナジー・アンド・パワー(LEAP)を通したリチウムイオン電池の研究活動を終了するほか、全個体電池を研究する子会社Seeoを売却する。

これまでに習得した電池セルに関するノウハウは、コンピテンスセンターに移管する。また、当該センターでは、500人前後の従業員がバッテリー・マネジメントシステムや48ボルトのバッテリーシステムなどの研究開発に従事する。

■ 電池セルの自社生産、リスク大と判断

ボッシュは今回の判断について、事業の立ち上げ、将来の事業展開や技術の発展を検討した結果、リスクが大きいと判断した。事業立ち上げの初期投資だけでも、市場競争のある生産規模(約200ギガワット時、市場シェア20%)を確保するためには、約200億ユーロの投資が必要と試算した。さらに運営費に数十億ユーロがかかるうえ、生産コストの75%を材料費が占めること等から、電池セル生産への参入は困難と判断した。

■ エレクトロモビリティ分野を主導するメーカーに

なお、ボッシュは、エレクトロモビリティ分野は2020年から量産市場に発展すると見込んでおり、当該分野で市場を主導するメーカーを目指す意向も明らかにした。

電気駆動車に関しては、自転車からスクーター、乗用車、商用車まで幅広い分野に製品を供給していく意向。また、バッテリーに関するノウハウは、自動車分野だけでなく、家電製品や電動工具にも活用していく方針を示している。

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