EUが対米報復関税を発動、米は自動車への追加関税を警告

欧州委員会は22日、米国が6月1日付で発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、総額28億ユーロ規模の米国産品に報復関税を発動した。これに対して米トランプ大統領は、欧州連合(EU)から米国に輸出される自動車に追加関税を課すと警告しており、米欧間の対立が先鋭化している。

欧州委は米国の輸入制限によるEU側の損失を総額64億ユーロと見積もり、第1弾として鉄鋼・アルミニウム製品のほか、ハーレー・ダビッドソンのオートバイ、リーバイ・ストラウスのジーンズ、バーボンウイスキー、オレンジジュースなどを対象に、最大25%に上る報復関税の適用を開始した。対象リストには米共和党の有力議員が支持基盤とする地域の産品が多く含まれており、トランプ政権に揺さぶりをかける狙いがある。

米国内でもEUとの貿易戦争が本格化すれば米経済は大きな打撃を受けるとして、慎重な対応を求める声も出ている。しかし、11月の中間選挙に向けてトランプ氏は強硬姿勢を崩していない。同氏は22日、「EUが米国に対する関税や貿易障壁を直ちに取り除かなければ、米国に輸出されるすべての自動車に20%の関税をかける。ここ(米国)で生産しろ!」とツイッターに投稿した。

トランプ政権は3月、輸入品の増加で国内の鉄鋼・アルミ産業が弱体化すれば米国の安全保障が脅かされると主張し、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税措置を発動した。EUに対してはカナダやメキシコと同様、5月末までの期限付きで輸入制限の適用を猶予していたが、今月1日付で適用除外の措置を打ち切った。

EUは米国による追加関税に対して世界貿易機関(WTO)での紛争処理手続きも開始している。WTOが米国の輸入制限をルール違反と認定した場合、第2弾として36億ユーロ相当の報復関税を課す方針を打ち出している。

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