独郵便・物流大手のドイツポストDHLグループは6日、電動小型商用車を開発・生産する子会社ストリート・スクーターが、ドイツ西部で電力・ガス網を運営するヴェストネッツと長期の開発提携について合意したと発表した。電力会社や電力・ガス網の運営会社の業務に適した電気自動車を共同で開発する。また、ヴェストネッツは、ストリート・スクーターの電気自動車を計300台、2022年までに段階的に調達する。
ヴェストネッツが調達する300台は、電気モーターの出力を70キロワットに高め、最高速度も時速120キロメートルに引き上げる。また、遠隔地での作業では長距離走行が必要になるため、燃料電池車も調達車両に含まれる。ヴェストネッツは、ストリート・スクーターの車両を、電力・ガス網の拡大や保守作業に投入する予定。
ヴェストネッツは独エネルギー大手RWEの再生可能エネルギー子会社イノジーの100%子会社。ヴェストネッツはこれまでに、パイロットプロジェクトとしてストリート・スクーター10台の実用試験を実施した経験を持つ。イノジーは、エネルギー転換の取り組みの一環として、電力・熱分野における再生可能エネルギーの普及拡大にとどまらず、交通分野での再生可能エネルギー活用を強化していく意向で、充電インフラの整備や社用車の電気駆動車への転換を進めていく方針。
■ ストリート・スクーター、株式公開・売却の可能性も
ドイツポストDHLグループのフランク・アッペル社長は先ごろ、独有力紙『フランクフルターアルゲマイネ』とのインタビュー記事の中で、今後2年間は少なくともストリート・スクーターの経営を継続する方針を明らかにしていた。ただ、長期的に自動車メーカーとなる意向はなく、将来の可能性として、ストリート・スクーターの株式公開や戦略投資家や投資会社への売却を検討していると語っている。